『エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢』の感想

竜盛博さんの『エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢』を読み終わったので感想を書きます。

 

エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド

 

どんな本か

アメリカ(主にシリコンバレー)で働くことに興味がある日本人エンジニア向けに書かれた本です。

メリットだけではなくデメリットもしっかり書いてあって、著者やその周りの人の経験に基づいて公平な立場で書かれています。皆なが気になっている日本との違いやアメリカの社会全体の雰囲気の話はもちろんの事、面接対策やビザ、レイオフ(解雇の種類)のようなテクニックや制度のことについても細部にわたって書いているのがこの本の特徴です。

そういう意味ではすでにアメリカにいる人でも興味深い内容だろうし、学べることも多いと思います。

 

気になった内容やトピック(箇条書き)

  • まず最初にアメリカに向いている人といない人の話が書いているのがちょっと衝撃的でした。こういう本や記事は大抵アメリカに行った方が良いという話になりがちですが、この本は優秀でもアメリカの雰囲気に合わない人がいるのでそういう人はアメリカに行く必要はないということが書いていて本当に公平に書いてるなと思いました。
  • "シリコンバレーメジャーリーグ"という例えが個人的には好きでした。どういうことかというと、シリコンバレーは雇用の流動性が高く、会社を何回も転職をする人もいれば引き抜きなども多くあります。これは野球のメジャーリーグに例えるなら、会社が個々のチームで社員が選手ということです。社員(選手)はシリコンバレーというリーグにまず所属し、それからどこかの企業というチームに入る。チーム間の移籍などが頻繁にあるという感じです。
  • 転職の面接テクニックを詳細に書いているのが面白かったです。電話面接ではリモートでコードを書くのでヘッドセットを使うべき、ホワイトボードコーディング面接では後で書き込めるようにスペースを空けて書くべきなどすごい細かいテクニックが書いていました。また、面接に出そうなアルゴリズムの問題なども書いていて著者の意気込みを感じました。
  • また、有名企業の面接の多くが一日にわたって数回面接するというのが辛そうでした。日本だとせいぜい1,2時間程度の面接が日をまたいで複数回ある感じでしょうか?一日中ぶっ続けで面接するのは疲れそうです。
  • キャリアについては日本と全く違う感じでした。日本だとプログラマーは35歳で定年でそのあとはマネージャーになるというのがありがちなキャリアです。シリコンバレーでは、プログラマーのキャリアとマネージャーのキャリアが別にあります。ずっとプログラマーをやって給料を上げていくことも可能ですし、申請して途中からマネージャーの仕事もやってみることもできます。なかなか柔軟なキャリアパスがあるのはいいですね。
  • 他にも日本と違うのはレイオフという解雇制度です。企業の都合で社員を解雇することをレイオフと言います。レイオフされるなんてたまったもんじゃないってイメージがありましたが、実は真逆で、数ヶ月分(多くて半年以上)の手当てが会社から出る場合があるので、余暇に使ったりのんびり転職活動をする人が多いそうです。レイオフがあることがわかると自らレイオフしてくれって頼む人も珍しくないとか(笑)
  • この話が一番好きなんですが、最後の方にアメリカから突出した企業が出てくる理由として"雇用の流動性"のおかげで良い会社には良い人材が集まりやすいからという話があってなるほどと思いました。

全体の感想

アメリカにはいずれ行きたいなと思っていたけど、あまりアメリカの制度について調べたことがなかったので非常に勉強になりました。アメリカに行きたい欲が高まってきます。次の転職くらいには考えてもいいかな?

 その他

アメリカで行われた出版記念講演会の動画を見つけたので貼っておきます。

 

本の内容も少し話しています。